俺様のSt.GIGAを返せ

信じられないことかもしれないが、St.GIGAの夢と、その儚さについて考えるとき、俺様は今でも目頭が熱くなる。過去を懐かしむことは無意味だと言う人もあるが、St.GIGAが残してくれたことから学べることは、まだ多いと思う。

St.GIGAが本放送を開始したのは、たぶん1991年。とにかく、WOWWOWの有料本放送スタートとほぼ時を同じくして、月600円の有料放送を開始した。

DJを中心としたFM放送が人気を伸ばしたこの時期に、St.GIGAはDJを、というか、POPも、トークも、そして番組表までもを、全否定した(なぜならSt.GIGAを創った人々は、東京FMでそれらに飽き飽きしていたからだ)。そしてリクエストやカウントダウンの代わりに「選曲者のセンス」を、トークの代わりに詩と自然音とを導入した。

詳しくは、St.GIGAのプログラミング・コンセプトを参照して欲しい。2002年の今改めてこれを読むと、その内容の深さに驚かされる。そして当時「音の潮流」を貪るように聴いた俺様には、その言い分がハッタリではなかったことも、よくわかる。

けれども残念なことに、1991年の我々にとって、この考え方は理解を越えていた。彼らのやったことは「売れている曲」の代わりに「聴いて欲しい曲」を流すことだったから、今までのスタイルの放送しか聴いたことの無かった人には、ちょっと不親切だったのかもしれない。

結局、St.GIGAの聴取者は増えなかった。ついに1993年、St.GIGAは「音の潮流」を一部削って、新譜CDの垂れ流し放送をスタートし、存在意義を自ら放棄した。この時点でSt.GIGAの聴取者数は、わずか10,000人であったという。

それから長い間、俺様はオンガクに飢えている。暑い日や、寒い日や、朝や、夜に私が聴くべきオンガクを、私は知らない。かつてSt.GIGAに教わったことと比べれば、私の惨めな見識など、何も知らないのと同じだ。

■St.GIGAの代替となることを期待されたモノたち

Music Bird (CS-PCM)

Jazz8, Classic7は時に心地よいが、同一ジャンルの曲が流れるというのは結局のところ単調に過ぎる。また、Jazz8は下品なオヤジが多数出現し、時に不愉快。

Mother Earth (BS Digital 472ch)

St.GIGAっぽいという噂もあるが、普通のヒーリング・ミュージックみたい。機会があれば聴いてみたいとは思うが...。

Gloove Salad (SomaFM)
最近のお気に入り。でも、ずっとハイ・タイドな感じで、やや疲れる。

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